リンコル

とある酒場で、クローガンが人間の友人と酒盛りをしていた。
先ほどからクローガンが飲んでいるのは、トゥチャンカ名物・リンコルばかり。

「お前は本当にその酒が好きだな」

「当たり前だ！リンコルは俺の命だからな！」

後日、人間がそのクローガンを家に招いた。
人間は彼がリンコル好きなのを覚えていて、ありったけのリンコルと、ついでに魚料理をご馳走した。
するとクローガンは、あれだけ好きだと言っていた酒には目もくれず、魚ばかりを夢中になって食べている。
不思議に思った人間は問う。

「リンコルが命なんじゃなかったのか？どうして魚ばかりで、好きなリンコルに手を付けない？」

「魚を見たら、もう命もいらなくなった！」

2016年 5月13日

あとがき
中国に伝わる古いジョーク『豆腐』を改変してみました。