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ブロック崩し ブロック崩しのページ 畑山畑

ちょっと変えようかなと思った日

「うーむむむ」

新進気鋭の冒険者学校、モーディアル学園。
その学生寮の一室で、黒い猫耳がうめいていた。

「さすがにこのまま押し通すのも無理が……」

猫耳の持ち主は、リューカと呼ばれるフェルパーだった。
なにやら深刻な面持ちである。
備え付けの椅子に座り込み、『考える人』のポーズをとっていた。
――さて、その時。

「どんどんどん!!」

扉が乱暴にノックされ、テンションMAXな声がかかる。

「どーぞ。」

間髪入れずに返答する。
拳でも口でも元気よくノック音を奏でる単細胞は、リューカの知り合いには1人しかいない。
即座に扉は大きく開かれ、赤毛のバハムーンが転がり込む。

「ケサランパサラン捕まえに行こうぜー!!……ってお前なにやってんの?」
「めっちゃ考えてる」
「そりゃ見りゃわかるぞ」

現れたバハムーンの名前はライ。
女子らしからぬ乱暴な口調と性格が特徴だが、友人が彫像のように考え込んでいるのを見て、多少勢いが削がれたようだ。
首をかしげてポニーテールを揺らしている。

「まぁ相談相手はライでもいいか……」
「ん?なんだなんだ」
「私の名前のことだけどさー」

「作者と名前が同じでややこしいからリョーカに変えていい?最初にキャラ作った時は本名がリョーカでリューカはあだ名って設定だったし」

「いきなり何言い出すんだ!?」
「この話は特別編みたいなもんだからメタネタぶっ込んでもいいよね」
「全ッ然話が見えねーんだけど!!」

うろたえるライを他所に、リューカ改めリョーカ(?)は勢いをつけて椅子から飛び降りる。

「よし、そうと決まればキャラデータ消して新しく転入してこよう」
「なんかおかしくないかその方法!!」
「名前ひとつに大変ですねぇ」
「シモンお前どっから生えてきた!?」

脈絡のない堕天使のエントリー。
混沌が深まり、ライは完全なツッコミ役と化してしまう。

「シモン、丁度良かった。私1回退学したいんだけど、退学届けとか持ってない?」
「気は確かでしょうか」
「なー!?こいつおかしいよなー!?」

かと思えば、ライとシモンが徒党を組んでツッコミに回る。
2対1だ。ボケが足りない。
自軍の劣勢を感じ取ったリョーカ(?)は、とりあえず廊下に顔を出し、援軍を呼んだ。

「カズネー、どっかその辺にいるー?」
「いるよ~。なになに~~?」
「つーか本気で学園やめるつもりかよお前!?」
「だってクリスマスだし。お祭り期間はどんな致命的な冗談をかましてもギャグ補正がかかるのさ初歩的なことだよワトソンくん」
「ワトソンって誰だよ!!」
「ねえねえ~~呼~ん~だ~~?」
「やかましい廊下で騒ぐな!!」
「すみませんねクロやんさん、改名手続きにおける手段の是非について議論していまして」
「ヘイヘーイ!!わたしも混ぜてプリーズ!!」

混乱は混乱を呼び、とうとう6人パーティ全員が一堂に会してしまった。

――モーディアル学園の学生寮は、明確な男女分けがされていない。
そのため集まろうと思えば、今のようにすぐ集合できる。
それは冒険者育成校という特殊な性質もさることながら、生徒の多様性に配慮した結果でもある。
生徒の中には女性や男性以外にも、両性具有に無性別、女装男装ジェンダーレスと、一概に区分しにくい性自認の者が多数存在する。
故に男性寮・女性寮といった区分けは存在せず、1つの寮に全校生徒がうまく配置され、日々の生活を送っている。
ちなみにここまで語った設定は全て作者の妄想なので無視してくれて構わない。

「何かと思えばくだらんことで……改名手続きなら役所へ行け」
「いいえ、手段そのものはあながち間違ってもいないんですよ。入学前に自分で自分に名前を付けたクロやんさんには馴染みが薄い設定かもしれませんが」
「何処でそれを嗅ぎ付けた」
「どうどうクロやん!お祭りモードでマジになっても無駄なのさ!!ソースはわたし!!」
「お前自分にそんなカッコいい名前つけたのかよ!?実はナルシストだなー!?」
「断じて違う、目立たない一般的な名前を選んだだけだ!!」
「あれ、クロやんの名前って何だっけ~……?くろ、くろ~……」
「クロードだ!!」

改名騒動が奇妙な方向へ飛び火していく。
クロードの設定は割としっかり決めてあるが、こうして小説内で明かされることは少ない。
何故かというと――クロやんの過去がシリアスだからだ。以上。

「ところでわたしの記憶喪失って設定はいつ生かされるのかしら(`・ω・´)」
「音無さんはまだいい方ですよ。私の過去なんてあまり思い出したいものじゃありませんし」
「気にしない気にしない~。今が良ければそれで良しだよ~~」

そんな騒ぎを一通り眺め、作者と名前が同じでややこしいフェルパーは、ひとつの結論を導き出す。

「……やっぱりこのままでいいか。色々変更するの大変だし」

適当な理由で改名を試みたフェルパーは、こうして適当な理由で改名決行を取りやめるのだった。
メリークリスマス。

2017年 12月25日