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ブロック崩し ブロック崩しのページ 畑山畑

始原の森、最大の危機!?

始原の森──
比較的弱い魔物が棲息する、初心者向けのダンジョンである。
冒険者学校のすぐ近くという立地も相まって、人々からは危険度の少ない場所として認知されていた。

しかし……

「はぁっっくしっ!!!」

しゅごう──っ!と燃え盛る白い炎。
たちまち木々に絡み付き、緑が意味もなく炎上する。

「ふぇっ……、はくしょい!!」

またしても炎が吹き上がり、蔦のカーテンを焼き付くす。
熱塊のエネルギーはそれだけに収まらず、地面の落ち葉をも灰に変えた。

「はっ……ぐしっ、はっっ……!!」
「いい加減にしろ!!」
「んぐ!?」

頭上に落とされる鋭い手刀。
口内に留まる炎の塊。

「んなっ……げほ、ぐはっ!何すんだクロやん!!」

バハムーンが自分のブレスを飲み込んでむせる。
放っておけば森を焼き付くしていた問題児──つまりライが、仲間のクロードを恨めしげに睨んだ。

「熱いぞバカ!口ん中火傷したらどーすんだよ!」
「森を焼け野原に変えるよりはマシだ!自分のブレスくらい制御できないのか、お前は!?」
「花粉症なんだからしょーがないだろ!目はカユいし鼻水は出るし……あたしは苦しんでるんだー!!うおー!!!」
「苦しんでいる割には元気そうだが……」

「花粉症ですか。大変ですねぇライさんも」
「くしゃみでブレス吐いてるの怖すぎない???」
「音無さんもディアボロスでしょう。その気になれば出来るのでは?」
「とっさにくしゃみとブレスをフュージョンさせるのはむり、、」

無駄に高度な破壊技術を駆使しているライに対し、シモンはこっそりと距離をおいた。
巻き込まれたくないらしい。

「へっ……ふぇっ!」
「やめろ!!」
「ぎゃん!?」

またクロードが脳天チョップでブレスを防ぐ。
今度は飲みきれなかったようで、ライの前髪がちょっと焦げた。

「ううっ……あんぎゃー!!もー限界だー!」
「始原の森もライの暴挙に限界感じてるんじゃないかな」
「……?リューカお前ぇぇえっ!!」

ぐわしっ。ライがリューカの両肩をひっ掴む。
よほど興奮しているのか、背中の翼が羽ばたいている。

「え、なに、ワタシがどーかしたっ?」
「お前も花粉症のはずだろ!?なんでへーきにしてるんだっ!?」
「なんでって。カズネが作った薬飲んでるし……ライも貰ってるんじゃないの?」
「えっ。」

……ライの動きが停止する。
激しく動いていた背中の翼は、力を失って垂れ下がった。

「ねーカズネ、ライにもあげたよね?」
「もちろんだよ~、昨日の夜に3日分~。大変そうだったからね~」
「…………」

ライは黙って道具袋に腕を突っ込む。

何かを探して荒く中身をかき回す。

手を引き抜いた。

掌には小瓶が握られている。入っているのはいくつかの錠剤。

蓋を開けて、そのうちの1つを飲み込んだ。

「……治った!!」

「早っ。」
「やった~~」
「人騒がせな……!!」
「今ので終わり!?あっさり解決しすぎじゃないかしら……!!」

それぞれの感想が零れたところで、始原の森から危機は去った。
灰と煙と、緑の匂いが奇妙に混じって辺りに満ちる──。

「……あの、カズネさん」
「なに~?」
「さっきの錠剤、購買で売ってる栄養剤に似ていたんですけど、まさか……」
「そうだよ~。錬金術でも作れるけど、急なことだったしね~。いいかな~って」
「プラシーボ効果ですか……」

シモンは軽く頭を抱えた。

「あはは~、次からはちゃんとしたお薬にするよ~」
「……ずっと栄養剤でも大丈夫だと思いますよ、あの2人は」

ドクター科履修者らしからぬ適当なことを呟いて、堕天使はため息をつくのだった。

どっとはらい。

2018年 4月6日