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ブロック崩し ブロック崩しのページ 畑山畑

いつも出会いは突然に

「ふあ……」

休日の朝に欠伸をひとつ。
お世辞にも綺麗とはいえない水面を見つめ、折りたたみ式の小さな椅子に腰掛ける。
コンクリ地面にクーラーボックス。得物がかかれば入れる予定。
突然ですが趣味は釣りです。

釣り。あんまり女子の趣味らしくないとか言われることもあるが、まぁ気にすることもない。楽しいし。
おべんとに作ったおにぎりを呑気に頬張りつつ、とりとめのないことを考えたり考えなかったり。
どうってことのない川の近くを時折を車が通っていく。
で、しばらくそうして待っていると、今日は珍しく大物の気配が。
おにぎりを弁当箱に戻して、せっせとリールを巻き上げる、いざご対面!

飛沫がはねて影が形を表した。
水面から躍り出たその魚は、全体の色は艶やかな漆黒。要所要所が赤い線で彩られ、頭が大きく尻尾が細長い。しっかりと針に食らいついていて……。

…………魚?

びちゃびちゃびちゃ。
盛大に跳ねる。水飛沫が顔にかかる。そして重さのわりには小さいような。
とりあえずここで動きを止める訳にもいかないので、魚じゃあない蛇っぽい何かをコンクリ地面へ落とした。

  ゴンッ!!

うわ明らかに生き物じゃない音しやがりましたよこいつ。
コンクリに叩き付けるのは可哀想かな、でも毒ヘビだったら怖いしな、とか思ってた私の立場は。

 びちびちびち。

まだ跳ねてるし。

「……えー」

針に食らいついたまま思いっきりじたばたしてる……変なの。そう、変なのとしか言いようがない。
蛇のような機械のような姿、頭にあたる部分が切断面になっていて、切れ込みから舌がのびている。
目の錯覚だろうか、動く拍子に大きくなったり縮んだりしている。
リアクションに困って放っておいたら、そのうち針を吐き出した。先端についていたミミズはなくなっている。食ったのか。

「~~~~!!」

すると今度は苦しげにのたうち回り始めた。
ううむ、これは間違って嫌いなラッキョウを食べてしまった親戚の子供と反応がそっくり。
ミミズはお気に召さなかったらしい。
でも食ったよなあんた。釣られたよな。

「ー!ーーー!!」
「わ」

ぐるりとこっちに向き直り、鎌首をもたげて警戒体勢。舌を出し入れしながらゆらゆら動くその様は、どことなくコブラを彷彿とさせる。
うあ。これ噛まれたらめちゃめちゃやばそう。
でも噛むもなにもこいつの口って切断面の切れ込みみたいになってるし、いやいや考えてる暇があったら逃げようよ。
慌てて腰を浮かせたところで、

「~……」
「ん?」

警戒が薄れた。ゆらゆら尻尾を振りながら、そいつが見やるは私の弁当。
と言っても特別なものは入ってない、せいぜいおにぎりが残ってる程度である。

「……」

効果音を付けるなら『チラッチラッ』あたりだろうか。
物欲しそうに食べかけおにぎりを見てくる。
目があるのかどうかは置いといて、試しにおにぎりを手づかみ。

「……」

ガン見である。おにぎりを右へ動かした。

  ついっ。

顔を動かし目(?)で追ってくる。左へ。

  ついっ。

やっぱり見てくる。

「……食べる?」

全く私は何を言っているのだろうか。
いくらこいつがおにぎりしか眼中になさそうだからといって、渡したところで口らしきところで器用に受け止め嬉しそうにしっぽをぴこぴこ振ってうわほんとに喜んでるよ。

「♪」

どうやって食べるのかと思っていたら、くわえたおにぎりをまずは真上に放り投げ、落ちてきたところをキャッチ&丸のみでした。見事。

「……いやいや、そんな尻尾ふられてももうないから」
「……!」
「悲しそうにうなだれるなってば、欲しかったら私の家にでも来ないと」
「!」
「なにそのその手があったみたいな反応。本気で来る気か」
「?」
「駄目じゃないけど……ってなんで意思疎通できるみたいになってんの私!?」
「~~」
「そんなことはいいからおにぎりだ?はいはいもうこの際ついてくるといいよ、えーと……」
「ー?」
「ああ、あんたの名前。呼ぶのに不便だし、とりあえず仮の名前ということで~……ツチノコ!」
「~~!」
「痛い痛い!やめ、尻尾のダイレクトアタックはやめて!あんた地味に体重あるんだから!分かった珍獣はやめるからえー、えーと、黒いからクロ!」
「♪」
「あ。オッケーなんだ」

蛇さんのセンスは分からない。攻撃をやめてくれたのはいいが、そのまま肩に乗ってきたので重い。

「はー……それじゃあ行くかークロ。その前に片付けね」
「……」
「ミミズを恨めしそうな目で見るんじゃない」

本日の釣果。
ペットを一匹釣り上げました。

(新型のロボかなー?あとで調べてみよ)
「♪」
「縮んだ!?」

2014年 2月16日